東京大学と京都大学。受験生なら知らない人はいないだろう言わずと知れた日本を代表する再難関国立大学だ。
しかし入試問題について言えば、「東大も京大もめちゃくちゃ難しいんでしょ」では片付けられない大きな違いがあるのをご存知だろうか。
では何が大きく違うのだろうか。今回は、現役東大生である筆者から見た主観も交えつつ、京大入試を暴いていきたいと思う。
目次
東大と京大はそもそもタイプが違う
東大も京大も基本的に論述問題が大きなウエイトを占めており、付け焼き刃の知識では歯が立たないような問題が出題される。
ただ、ひとくくりに「論述問題」と言っても様々なものがあり、その出題傾向がかなーり違っているのだ。
簡単にいうと、
- 東大=「速く正確に」解く問題
- 京大=「緻密に正確に」解く問題
になっている。どちらも当然自分の持っている知識を使って正確に分析する力は求められているのだが、その使い方の方向が少し変わっているである。
入試問題を比較してみた〜英語編
力の使い方が…と言われても、実際に問題を見てみないとその違いはなかなかわからないだろう。いくつかの教科について例を出しながら説明していきたい。
京大入試の英語は和訳・英作文のみ
一番顕著なのが英語だ。京大の問題構成は主に和訳・英作文。これだけなのである。
(最近傾向が変わってきており、段落要約などが出題され始めたそうなので、気になる人は過去問をチェックしよう。)
実際に解いてみるとわかるのだが、とにかく時間が余る!でも解けない…。そんな試験なのだ。文章も学術的だったり、哲学的だったりと難しいものが多い。
英語の特徴とその違い
京大入試の英語は、自分の知識を使ってじっくり解いていくタイプの試験だといえよう。
自分の実力がはっきり見えてしまうある意味入試らしい入試だと思う。
それに対して、東大は要約・英作文・読解・和訳・さらにはリスニングと多岐にわたって出題される。
文章の難易度はそこまで高くないが、とにかく時間が足らない。落ち着いてやれば…。というタイプの試験だ。
東大入試の英語は、基本のことがいかに速く正確に処理できるかが試されているのである。
入試問題を比較してみた〜数学編
数学に加えて、入試問題の傾向の違いが現れるのが数学だ。その特徴を比較していきたいと思う。
京大入試の数学は『最後まで解ききる』がカギ
よく京大数学は「最後まで解ききること」が重視されるといわれる。小問が少なく、自分で一から手をつけなければいけないタイプの問題が多いし、採点もその傾向が強いらしい。
自分の同級生で今年(2017)に京大を受験した人複数の話によると、問題の序盤で計算ミスをしたものは論理的に合っていても大きく減点されていたということだ。
数学の特徴とその違い
実際に自分も受験勉強をする中でなんども京大の問題を解いたが、京大の数学はとにかく解き始めまでがすべて難しく、発想力が求められている。
解法につながるとっかかりを見つけるとサラサラ進むのだが、最初が見つけにくい、という問題のタイプが多いのである。
それに対して東大の数学は、全部で6問構成であるが2~3問は簡単な問題が含まれている。その簡単な問題を識別し、その問題を確実に得点していくという『識別能力』と『数学の学力』の二つの能力が求められているのが特徴だ。
京大の入試対策は何をするべきか?
独特なところが多い京大入試なので、特別な対策をたくさんしなければいけないと思うかもしれない。
しかし、まだ夏ごろであれば、慌てる必要はない。超進学校なら別だが、この時期に京大の二次試験に特化した勉強をしても、身についていないことが多すぎてわからないことが増えるだけになってしまう。
現時点で京大を目指している高校3年生は、二次試験に触れつつもセンターの穴を潰すという勉強をおすすめしたい。そして秋の京大模試に照準を合わせて、二次の勉強を進めていってほしい。
京大が進学候補のどこかにあるような人は(1,2年生も含めて)英語の長文の文構造をきちんと解釈しながら読む、誘導のないタイプの数学の問題を解いてみる、といった京大を意識した勉強を少し取り入れてみるといいだろう。
東大と京大、どっちらが難しい?
東大や京大の入試問題は非常に手強いものが多いが、難しさのタイプがまるで違うため、一概にどちらが難しいなどと比較をすることは難しい。
東大は自分の中にある知識がすぐに出てくる状態にないと厳しくなるだろうし、京大は丁寧に深い理解をしていないと、すぐに理解度が低いことがバレてしまう。
どちらも特徴的な出題の仕方をするため、片方がしっかり解けるからといってもう片方の問題もできるとは限らない。
志望校を選ぶ際には、問題の傾向がまったく違うということを頭の片隅にでも入れておくと役に立つことがあるかもしれない。
最後に
京大の問題は非常に深い理解が求められる問題が多く、初めて解いたときには「こんな問題解けるわけないやん!」と思うかもしれない。
しかし、明確な傾向がある以上それに向かってしっかり対策をとれば必ず合格へ近づくことはできる。
何年分も過去問を解いていくと自分自身でも実感できると思うので、解き込んで合格を掴み取って欲しい。